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  • suugakusha

算数と数学9

更新日:2023年3月18日

こんにちは!


ようやく梅雨が明けました!


本格的な夏も始まり、今日は「慰霊の日」。


沖縄全戦没者追悼式が行われ、世界の恒久平和を願う日でもあります。



さて。


「パスカルの三角形」


他にどんな規則性があるのでしょう。


① 1

② 1 1

③ 1 2 1

④ 1 3 3 1

⑤ 1 4 6 4 1

⑥ 1 5 10 10 5 1

⑦ 1 6 15 20 15 6 1

⑧ 1 7 21 35 35 21 7 1

⑨ 1 8 28 56 70 56 28 8 1

⑩・ ・ ・ ・


???・・・


1段目や2段目、4段目、8段目、・・・がすべて奇数になっています!

〔2のn-1乗〕段目は奇数だけでできている・・・これも中学入試で出題されています。


では他の段も含めて、奇数だけ▲にしてみるとどうでしょう。


▲▲

▲ ▲

▲▲▲▲

    ▲   ▲

   ▲▲  ▲▲

   ▲ ▲ ▲ ▲

  ▲▲▲▲▲▲▲▲

▲ ▲

▲▲ ▲▲

▲ ▲ ▲ ▲

▲▲▲▲ ▲▲▲▲


見事なフラクタル※1ができていきます。

(▲の頂点がくっついているものとして見てください)


これは「シェルピンスキー三角形」として良く知られています。


上は12段までですが、この12段目までに「奇数」(黒い三角形)が45個とすぐに分かりますね。16段目までには81個あります。では32段目までには・・・?


理由もちゃんとありますので、これも中学入試に出る可能性は十分にあります。

私が見ていないだけで、すでにどこかで出ている可能性も。


他には例えば、それぞれの段を1、11,121(11×11)、・・と見てみると、並び方に11の~乗と何か関係が?

しかし6段目の並びは

15101051。

11の5乗は161051・・・?

これもある規則性を持っているのですが、中学入試においては2020年灘中で出題されました。※2



「中学受験算数」は


『どこの中学』が『どこまでを「算数」として初めて出題するか』により、その後それが定番になったりする、と言う繰り返しです。



「パスカルの三角形」の左(右)斜め下に続く数列を


1,1,1,1,・・・

1,2,3,4,・・・

1,3,6,10,・・・・

1,4,10,20,・・・

1,5,15,35,・・・

1,6,21,56,・・・


と書き並べてみるとどうでしょう。


これだけでも規則性が見えてきますが・・・


この、上の6つの数列の一般項※3を解に持つ、とてもあっさりとした問題を作ることができます。


「大学受験数学」ですが、こんな↓感じです。


『n個のサイコロを同時に振ったとき、出た目の数の和がn+k(k=0,1,2,3,4,5)となる場合の数を求めよ』


2006年京都大学(後期日程)で「n個のサイコロで目の数の和がn+3」(理系。文系はn+2)などの問題が出題されましたが、これは普通に解けるでしょう。


しかし『n+k』の問題は、例えば

『3個のサイコロを同時に振ったときの目の数の和』

が3(18)から8(13)までは規則性があり、その「理由とある求め方」を学んでいない生徒には難しい問題になっています。

解答はここには書きませんが、「気付けば」とても簡単なので、少し考えてみてください。

記述では「サイコロの目は6まで」との基本部分を忘れずに。


更に、上の『3個のサイコロ』の問題で、和が9(12)、10(11)では規則性からずれること、そしてその「理由とある求め方」を考えさせることも、古くから授業に取り入れています。

その基本さえ分かれば、少しだけ難易度を上げた

『10個のサイコロを同時に振ったとき、出た目の数の和が17になる場合の数を求めよ』

などの問題も解けるようになります。

この問題もn+kの問題も、この先大学入試で出題される可能性の高いものです。

ぜひ解いておいてください。



「パスカルの三角形」は本当にたくさんの規則性が含まれていて、ここでは書き切れないほどです。

算数、数学のネタとしても十分利用できます。


見た目すぐには気付きませんが、フィボナッチ数列※4(有名ですね!)やカタラン数※5も隠れています。

が、「パスカルの三角形」はもう十分に研究し尽くされていますので、ここで詳しく書く必要はないでしょう。



ただ、その中で最も良く用いられるのが


「二項係数」と言われるもの。


これは「二項定理」と言う、数学のあらゆるところに出てくる、最も重要な一つです。



この先は数回にわたり、中学数学「式の展開」から「二項定理」まで、「場合の数」などのいろいろなお話を含めて続けていきます。



次回更新は7月7日頃。


ではまた!



※1:図形の部分と全体が自己相似になっているものなど。

大学入試問題では「コッホ雪片」などが有名です。

フラクタルは無限ですが、自己相似性を有する場合、その一部のこともフラクタルと呼び、自然界にも様々なフラクタルがあることが知られています。人の体の中にもあります。


※2:次回「算数と数学10」に問題を掲載します。お楽しみに(^^♪


※3:この6つの数列の一般項の求め方も考えてみてください。


※4:高校数学範囲で表すと、

初項P1=1,第2項P2=1,Pn=Pn-1+Pn-2(n=3,4,5,・・・)の漸化式で表される数列。

1,1,2,3,5,8,13,21,34,・・・

Pn/Pn-1をn→∞としたとき、黄金数【(1+√5)/2】に収束することも良く知られています。数Ⅲ極限で簡単に求められます。

カリフラワーの一種であるロマネスコは、フラクタル、フィボナッチ数のどちらも有する野菜として有名です。

中学入試にも、最も基本的な階段問題他、前の数を利用し規則性を見つける等の同様の問題が出されています。


※5:(2n-2Cn-1)/n(n=1,2,3,・・・)や

(2n)!/(n+1)!n!(n=0,1,2,・・・)

などで表される数列(上の2つの式は表し方が違うだけです)。

1,1,2,5,42,132,429,・・・

「パスカルの三角形」では第2項の1から現れます。

経路問題や分割問題などに現れる「場合の数」の一つです。

大学入試問題で「カタラン数」が「解」の中に現れるものには

『数直線上の原点Oに点Pがあり、硬貨を投げて

・表が出れば、正の向きに1

・裏が出れば、負の向きに1

だけ移動させることを繰り返す。

n=1,2,3,・・・に対して

2n回目の移動後、点Pが初めて原点Oに戻る場合の数(確率)を求めよ。』

などがあります。

ぜひ解いてみてください♪

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