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算数と数学40 過不足算と差集め算(1)

  • suugakusha
  • 3月20日
  • 読了時間: 11分

更新日:3月23日

算数と数学40 過不足算と差集め算(1)


こんにちは!


今回は「過不足算」「差集め算」についてお話を進めていきます。



さて、このブログで「特殊算」について扱おうと思ったとき、ネット上にあるものを色々と調べてみました。大昔に私自身が作ったものが、すでに誰かが書いているならば敢えて書く必要もないからです。

これまで算数について検索することが一度もなかったこともあり、ある程度予測はしていたものの、色々と調べるうちにとてもとてもたくさんの、大きな失望と喪失感がありました。


様々な単元で、「○○算」に無理やり含めた問題が数知れず。逆に「過不足算」と「差集め算」については、ただの「過不足算」を「差集め算」としていたり、それらを混同した問題と解説がネット上に堂々と掲載されています。更に「過不足算」と「差集め算」は同じもの、とまったくの嘘が書かれていたりもします。


インターネットが普及し始めてまだ30年そこそこ。更に今現在のような様々なコンテンツが生まれ、それらを自由に閲覧できるようになってから20年も経っていません。


ある程度「○○算」と言うものの区分けがされていた昭和の時代(35年以上前!)に新たな問題が次々と作られ、またその解法も次々と作られました。

そして昭和後半~平成初期には、新しい問題に対する区分けすら曖昧なテキストがそこかしこで作られ、更に平成初期~中期の空白の時間を経て、意味不明な算数がネット上でも大手を振って使われています。



「差集め算」に対する問題の捉え方、考え方は「過不足算」とは元々が異なり、それを無理やり「過不足算」などの解き方を使おうとすると間違うことも多いため、

「単位あたりの量」×「単位」=「全体量」

の、「単位」にあたる部分を「揃える」ことなく考え、「揃える」ことなく解くこと「差集め算」の解法と言い、更にそれを「面積図」で理解を促し解きやすくするために生み出したものです。その問題の考え方、解き方自体が差集め算の特徴とも言えます。


・「過不足算」とその解法=「全体量」や「単位」にあたる部分が変わらない、または、変わる場合はその「全体量」や「単位」部分を揃えて解く(揃えられる)。


・「差集め算」とその解法=「全体量」も「単位」にあたる部分も変わるが、「単位」部分を揃えずに解く、または揃えることができなくても解ける。


と、「過不足算」と「差集め算」は、そもそもがまったく違うものであることを知ることが重要であり、間違わずに解けるようになる鍵となります。

(問題の中には「単位」部分、または「全体量」のどちらか一方のみが変わるものがあり、本来それは「過不足算」ですが、その中には「過不足算」でも「差集め算」でも解けるものがあるために、問題として混同されてしまったと考えられます。)



では、まずは本当の意味での「差集め算」の特徴が分かる問題を先に紹介しておきます。



例24(差集め算)


きのう1個1000円で売っていた品物を、今日は1個900円で売ったところ、きのうより20個多く売れ、売り上げは8000円増えました。今日は何個売れましたか。



「全体量」「単位」部分のどちらも変わっているので「差集め算」です。この問題は、「過不足算」で解けなくはありませんが、「過不足算」と同じように考えると間違いやすい問題です。



次の問題はどうでしょう。実はまったく違う単元の問題なのですが、これも「全体量」と「単位」部分が変わるので「差集め算」の解法を用いることができます。「過不足算」では解けません。


例25(差集め算の解法が使える、まったく違う単元に含まれている問題)


(1)きのう1個1000円で売っていた品物を、今日は1個900円で売ったところ、きのうより20%多く売れ、売り上げは8000円増えました。今日は何個売れましたか。


(2)きのう1個1000円で売っていた品物を、今日は1個900円で売ったところ、きのうより20個多く売れ、売り上げは8%増えました。今日は何個売れましたか。



上の例24例25のどちらも、「全体量」が変わり、最初の「単位」にあたる部分が分からず、かつそれも変わるのが「差集め算」の「解法」が使える問題の特徴です。


この3つの問題はどれも、説明しても理解できない子も多く、また単元別の問題としては解けても、単独で出ると解き方を混同するなど自分では解けない場合もあり、このような問題を一括で対処できる解き方として「差集め算」の解法を作りました。

上の3つの問題を含めた「差集め算」の解説は次回行いますので、それまでにどのように解くか考えてみてください。



それでは「過不足算」の基本を紹介していきましょう。


「過不足算」とは、最初に示した特徴を持ち、その名の通り余りや不足を考える問題です。



例26(過不足算)


折り紙を何人かの子供に配ります。

(1)1人5枚ずつ配ると35枚余り、1人7枚ずつ配ると5枚余ります。折り紙は何枚ありますか。


(2)1人6枚ずつ配ると20枚余り、1人8枚ずつ配ると10枚足りません。折り紙は何枚ありますか。


(3)1人10枚ずつ配ると40枚足りなくなり、1人8枚ずつ配ると10枚足りません。折り紙は何枚ありますか。



この問題に出てくる「1人○枚ずつ」と言う言葉は、「1人あたり○枚」、すなわち「単位あたりの量」です。

よって「単位あたりの量」×「単位」=「全体量」を利用する「面積図」系の問題です。

ネット上ではこれを「線分図」で説明しているものも見受けられました。「算数の最もたる基本」すら曖昧なものがネット上に溢れていることが見て取れます。

(「線分図」系の問題と「面積図」系の問題では、問題の読み取り方、考え方が違います。その問題の違いを瞬時に見抜けるようにするためにも、教える側はその違いをはっきりと示すことが大切であり、元々がそれを考える上で有効なことから「線分図」や「面積図」による説明が使われました。)


この問題は「全体量」も「人数(単位部分)」も変わらないので、「過不足算」です。


簡単に説明します。

例えば(2)では、1人あたり2枚(8-6=2)増やしたことで、配る枚数が30枚増えた(20+10=30)ので、

30÷2=15

とすれば、人数(単位部分)が求まります。


「差(違い)」と言ってもたすこともあればひくこともある。この考え方を覚えることで、配った枚数(全体量)の過不足分の差(違い)を、1人あたり(単位あたりの量)の差で割れば終わりです。

以下、(1)~(3)の式を示します。


(1)(35-5)÷(7-5)=15

(2)(20+10)÷(8-6)=15

(3)(40-10)÷(10-8)=15


折り紙の枚数はすべて110枚となりますが、これを(2)で求めてみましょう。


6×15+20=110

または

8×15-10=110


このように2通りで求められるので、それも確かめになります。

もちろん110枚を出した後

(110−20)÷6=15

などで確かめるのも良いでしょう。



例27(過不足算)

あるイベントを開催するためクラスの生徒からお金を集めます。1人600円ずつ集めると、予定していた金額に2000円足りないので、1人800円ずつ集めることにしたら予定より1000円多くなりました。予定していたイベント代はいくらですか。


もちろんこれも「過不足算」です。例25(2)との違いは、配る問題と集める問題では、余りと不足の言葉が逆になることに注意が必要なことです。


(2000+1000)÷(800-600)=15(人)←生徒の数

600×15+2000=11000(円)←予定していたイベント代(「足りない」の言葉ですが足しています)


例25(2)と比べてみると分かるように、余りと不足の言葉が逆になっています。

これによって、最後にイベント代を求めるときに失敗しやすい問題であることが分かります。

すべての問題に共通しますが、必ず確かめを行いましょう。



下の「過不足算」「面積図」を見ると意外となるほど、と納得できます。




上の「面積図」を「説明で用いる」ことで、誰でも理解できるようになりますが、「過不足算」は元々「解く」ときに「面積図」を用いるようなものではありません。もちろん「面積図」を用いて解いても構いません。

(尚、「つるかめ算」(やその他)の「面積図」では、横線(「単位」部分)の上に「単位あたりの量」を伸ばしますが、「過不足算」(や「差集め算」)では下に伸ばしています。これは単に書き込むスペースの問題であり、深い意味はありません。)



「過不足算」には、「つるかめ算」に負けず劣らず派生した問題が数多くあります。その一部を紹介していきます。


基本問題の代表例としては


例28(過不足算)


講堂に長椅子を並べ、生徒を座らせます。

長椅子1脚に7人ずつ座らせると5人座ることができません。

長椅子1脚に9人ずつ座らせると今度は長椅子は2脚余り、使う長椅子のうち1脚には2人だけが座ることになります。生徒は何人ですか。


のような問題があります。

これも生徒数(全体量)と実際の長椅子の脚数(単位部分)は変わらないので「過不足算」です。最初に、長椅子を全部使った(単位部分を揃えた)場合の生徒数の過不足を求めます。


余った2脚の長椅子には18(9×2=18)人分まだ座れるところがあります。

これに、あと1脚7(9-2=7)人分の座れるところを加えると25(18+7=25)人分座れるところがある=25人生徒が足りないことになります。

最初の、1脚7人ずつ座ると5人座れない=生徒が5人余ることなので

(5+25)÷(9-7)=15

長椅子が15脚と出ます。よって

7×15+5=110

などから、この学年の生徒が110人であることが分かります。



次に定番の応用問題です。


例29(過不足算)


(1)赤い折り紙は青い折り紙の2倍の枚数あります。赤い折り紙を1人7枚ずつ配ると5枚余り、青い折り紙を1人5枚ずつ配ると20枚足りません。折り紙は合わせて何枚ありますか。


(2)赤い折り紙が青い折り紙の枚数の2倍より5枚多いとき、赤い折り紙を1人6枚ずつ配ると15枚足りず、青い折り紙を1人2枚ずつ配ると5枚余ります。折り紙は全部で何枚ありますか。


上の問題は、「全体量」が変わっていますが、人数(単位部分)は同じなので、「揃える」ことを使う「過不足算」の定番問題です。

「全体量」が変わっても、とくに「単位」部分が変わらないものは「差集め算」とは言いません。


(1)

もし青い折り紙が赤い折り紙と同じ枚数だったら(赤い折り紙の枚数に「揃える」)、青い折り紙を10枚ずつ配ると40枚足りなくなるはずです。よって

(5+40)÷(10-7)=15(人)

青い折り紙から求めると

5×15-20=55

赤い折り紙から求めると

7×15+5=110

となり、どちらかを求めてから165枚と出せば終わりです。

青い折り紙を先に求めると、55×3=165で赤、青合わせた枚数を出せます。

この問題では、青い折り紙を2倍の枚数にすると、10枚ずつ配ったあとの余りも2倍の40枚になることを間違わないようにしましょう。


(2)

赤い折り紙があと5枚少なければ、6枚ずつ配ると20(5+15=20)枚足りなくなります。

あとは(1)と同じ解き方ができます。

青い折り紙を赤と同じ枚数と考え、4枚ずつ配ると10枚余ることになるので、

(20+10)÷(6-4)=15

あとは例えば青い折り紙の枚数

2×15+5=35などから、全部で110枚の答えを出して終わりです。



例30(過不足算/差集め算


(1)折り紙を1人7枚ずつ配ると5枚余ります。配る予定の人数が5人増えたので1人6枚ずつ配ろうとしましたが10枚足りなくなりました。折り紙は何枚ありますか。


(2)折り紙を1人に7枚ずつ配ると5枚余ります。予定していた人数が2倍になったので1人に4枚ずつ配ろうと思ったら10枚足りませんでした。折り紙は何枚ありますか。



上の2つの問題は「単位」にあたる部分だけが変わる問題で「全体量」は変わっていません。よって本来は「過不足算」です。が、解き方としては、「単位」部分を「揃える」ことを使えば「過不足算」揃えずに解くなら「差集め算」と、どちらでも解ける問題です。

「過不足算」と「差集め算」が混同される1つの要因になった問題です。

この問題であれば「過不足算」による解法で十分ですし簡単です(ただし、例29との違いに注意が必要です※)

この問題を「差集め算」で解く必要はありませんが、解き方の違いが良く分かるので、次回「差集め算」でも解いてみましょう。



解1(過不足算による解法)

人数を何らかの方法で揃えましょう。

(1)1人に6枚ずつ配るときに人数が5人増えていなければ、あと30枚(6×5=30)配らなくても良いので(5人分配らず人数を「揃える」)、20(30-10=20)枚余ることになります。よって

(20-5)÷(7-6)=15(人)

と出したあと、これまでと同様に7×15+5=110などで、折り紙の枚数を求めます。


(2)人数が2倍になったあとの配り方を工夫します。最初の人数に揃えることを考えて、2人1組で8枚ずつ配ると考えます。

ただしこの場合、全体量を変えた訳ではないので、足りない枚数の10枚は変わらないことに注意※します。これで

(5+10)÷(8-7)=15←最初の人数(2倍の人数では2人1組の15組30人)

が求まり、あとは同じように折り紙の枚数が110枚と求められます。

※部分の、例29との余りや不足の部分の違いに注意してください。



今回は最後に、いくつもの解き方がある問題も示しておきます。この問題は「全体量」が変わっていないので基本「過不足算」による解法を用いますが、どの解き方を好むか人によって違いが出るものです。この解説は「面積図系問題のまとめ」で行う予定です。


例31


(1)折り紙を1年生と2年生に配ります。2年生は1年生の人数の1.5倍です。1年生には1人5枚、2年生には1人10枚配ると10枚足りないので、1年生には1人6枚、2年生には1人8枚配ったところ2枚余りました。折り紙は何枚ありますか。


(2)折り紙を1年生と2年生に配ります。2年生は1年生の人数より3人多く、1年生に1人5枚、2年生に1人10枚配ると10枚足りません。そこで、1年生には1人6枚、2年生には1人8枚配ったところ2枚余りました。折り紙は何枚ありますか。



さて、いかがでしたか。

「過不足算」の特徴はつかめたでしょうか。


次回は「差集め算」とその解法について解き明かしていきます。

更に2024年「女子学院中学校」入試問題の解説もありますのでお楽しみに!



次回更新は4月24日(木)を予定しています。


それではまた!!

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