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算数と数学38 つるかめ算(1)

  • suugakusha
  • 1月23日
  • 読了時間: 13分

更新日:2月24日

算数と数学38 つるかめ算(1)


あけましておめでとうございます!


遅い挨拶になりましたが、今年もよろしくお願いいたします。



今回から「面積図」系の問題です。

「線分図」系の問題と何が違うのでしょう。まずはそこが分からないと解き方も見えてきません。


今回は後半に「女子学院中学校」入試問題の解説もあるので、少し長くなりますが最後までお楽しみください。


さて、「算数」には、「単位あたりの量」×「単位」=「全体量」と言う、とても大切な勉強が含まれています。


良く知られていることでは

時速×時間=距離

のようなものです。

時速は、「単位あたりの量」(1時間で進む距離=速さ)を示し、時間はその「単位」です。距離が「全体量」になります。

普段当たり前に使っている「1個120円の品物」と言う言葉も「単位あたりの量」です。

1個あたり120円、と言う意味であり、例えばこれを5個(単位は「個」)買うと

120×5=600

となります。

この「単位あたりの量」は、120円/個のように表せます。


「線分図」系の問題では、「○○は~の□倍」「○○は~の△分の□」のような言葉、または「割合」や「比」が与えられており、これには「単位あたりの量」が出てきません。

[「単位あたりの量」である「時速」「時間」「距離」が出ていても、問題文中「○○は~の□倍」などが使われている問題には「線分図」で解けるものがあります。一例としては、「流水算」の「静水時の船の速さが上りは下りの2倍」などの問題です]


この、「単位あたりの量」×「単位」=「全体量」の、「単位あたりの量」を縦、「単位」を横とした長方形の面積が「全体量」に当たります。この関係を用いる問題のほんの一部に「面積図」が使われることがある、と言うことになります。



それでは「つるかめ算」と言われるものを紹介していきましょう。

ただここで一つ。

実は「つるかめ算」の解き方は1通りではなく何通りもあるのですが、その内最低限必要な考え方だけを紹介します。他の解き方までここで加えると、果てしなく長くなってしまうので。。。


「つるかめ算」の特徴は、2つ(以上)の異なる「単位あたりの量」「単位」の和、2つ(以上)の異なる積の和としての「全体量」が示されていることです。


例20

イカとタコが合わせて20匹います。足の数は全部で178本です。1匹あたりの足の本数は、イカが10本、タコが8本です。イカとタコはそれぞれ何匹いますか。


この問題では、10本/匹と8本/匹が2つの異なる「単位あたりの量」、20匹が「単位」の和、178本が2つの異なる積の和としての「全体量」になります。


[さて、最初に与える問題を「つるとかめ」にはしない方が良いでしょう。

「つるかめ算」で最も覚えて欲しいことは2つの「単位あたりの量」の「差」の部分です。この問題で言えば、1匹あたりの足の本数の「差」、2本です(10-8=2)。

つるとかめの場合、つるは2本、かめは4本の足なので、4-2=2の「差」の2本が、つるの足の2本と被ります。中にはこれらを混同してしまう子もいます。そのため、それがはっきり違うもので最初の問題を解かせます。]


最初、子供たちにはまったく何も教えずに、まずは考えさせる。これがとにかく大切なことです。


このときにいろいろな考え方、解き方が出てきます。それらが理論的に正しいか、教える側がすべての解法を知っておくだけで構いません。それが正しければ良いのです。

その中で、役に立つので覚えておくと良い解き方として、「もしこうだったら」と誘導を交え、最終的には教え、身に付けさせる。

そのような手順で小4から小5前半に初めて学ぶ「特殊算」(和差算、差分配、つるかめ算、過不足算など)を「気付きの力を高める」=「脳力を高める」=「頭が良くなる」方法で学んで欲しいと思います。

[初めて「和差算」や「つるかめ算」などを学ぶ生徒に、何も考えさせずに「線分図」や「面積図」などの解き方を教える、などは最悪手です。これは教える側の責任になります。

今現在のテキストの弱点はこの部分にあります。「特殊算」は「線分図」や「面積図」を用いるもの、との「誤った認識」が広がった平成初期頃に作られた(昭和後半当時までは正しくもあった)解説を利用しているテキストが、何ら疑念も抱かれないまま今現在も使われています。]


そしてそれらを経た後の、「覚えておくと役に立つ解法」を示しますが、これはとても単純なものです。

もしイカが20匹だったら、とか、タコが20匹だったら、と考える方法です。


例えば、もし20匹すべてイカだったとしたら、足の本数は200本のはず(10×20=200)。しかし実際の足の本数は178本。この22本(200-178=22)の差は、本当はタコもいたのにイカだけとしたからですね。


ここで、イカはタコより1匹あたり2本(10-8=2)足が多いので、タコをイカと数えてしまった分多くなっていることに気付くよう、導いていきます。これに気付くまで待ってあげても構いません。自分で気付くのが理想であり、自分で気付くと忘れません。


さて、多く数えすぎたイカをタコと取り替えたら、1匹について足の本数はその差の2本ずつ減ります。

よって22本減らすには

22÷2=11

の、11匹のイカをタコに取り替えれば良いことが分かります。

よってイカは9匹(20-11=9)、タコは11匹となります。


確かめましょう。

10×9+8×11

=90+88

=178


合っていますね。

式で書けば

(10×20-178)÷(10-8)

で終わりです。

分かってしまえば、何か思ったより簡単じゃありませんか?


最初全部タコと考えれば

(178-8×20)÷(10-8)=9

と、イカの数が9匹であることが分かります。


「つるかめ算」の基本はこれだけです。


では次の問題はどうでしょう。


例21

ある品物を運ぶことで、1個につき50円もらえる仕事があります。しかし、運ぶ途中で品物を壊すと、壊した分の報酬はもらえず、更に壊した品物1個について200円弁償しなければいけません。ある日100個の品物を運びましたが、その日はいくつか壊してしまったので4000円しかもらえませんでした。何個の品物を壊したのでしょう。


割の合わない仕事ですね。。。まぁ算数の問題にはよくよく考えるとおかしな問題がたくさんあるので、そこは目を瞑りましょう。


これもまったく同じように考えれば良いのですが、壊さず運んだときと壊してしまったときの「1個あたりの差」(違い)に注意します。

「差」と言っても「ひき算」だけでなく「たし算」をすることもある。

これが身に付いていれば何も難しくありません。

1個壊してしまうと、50円もらえないだけでなく、200円弁償しなければならないので、その「1個あたりの差」(違い)は

50+200=250

の、250円であることが、これより前に勉強する「和差算」や「分配算(差分配)」などで正しく学んでおけば簡単に分かることです。


このことから、1つも壊さなかったときには5000円(50×100=5000)もらえるところが、4000円しかもらっていないので、その差は1000円(5000-4000=1000)。

この1000円の違いは、1個壊すごとに250円減った分です。なので

1000÷250=4

4個壊してしまったことになります。


確かめましょう。

壊さず運んだのは96個(100-4=96)なので

50×96=4800(報酬を先にもらったと考える)

壊したのが4個なので、報酬をもらった後、1個あたり200円弁償すると考えて

200×4=800

4800-800=4000


合っていました。

実際には

(50×100-4000)÷(50+200)

=1000÷250

=4

で終わりです。


この問題は、「弁償算」などと言う名前を付けているところもあるようですが、ただの「つるかめ算」です。多い、少ない、などの言葉を正しく学び、「差」(違い)にはたすこともひくこともある、などが当たり前になっていれば、何も難しく考える必要はありません。

これも昭和50年代後半から良く出るようになった問題ですが、昭和の頃には名前などありませんでした。

成功すると5点もらえ、失敗すると2点ひかれるゲームがあります。最初100点持っているとき、ゲームを10回やった後・・・のような問題も同じですね。


ただ例20例21には一つだけ違いがあります。

例20のような一般的な「つるかめ算」は「面積図」で表せますが、例21のような問題はつるかめ算の「面積図」では表せません。これだけがこの2つの問題の違いになります。このことからいらない名前を付けてしまったのでしょう。私はこの問題は「つるかめ算」としか教えません。


結局のところ「つるかめ算」の基本的な考え方とは、「全体量」をある一方に考えたときの、実際の「全体量」との「差」(違い)と、1単位あたりの「差」(違い)について理解すること、です。この部分はとても大切なので、しっかりと学んで欲しいと思います。


では、後々他の問題を解くときにも役に立つものなので、例20の「面積図」を示しておきます。




[上の面積図2−〈1〉は、まだ例21のような問題がほとんど出されず、大半が例20のタイプだった頃に、理解していなくても答えが出せる(点を取るための)手段として昭和の時代(中学入試自体が始まった初期の頃から「つるかめ算」は出題されています)に普及したものです。

しかし、例21のような問題が出されるようになったことと同時に、初めから面積図を使えば何とかなるような問題を入試問題として出題する意味がほとんどなくなった、と言う経緯を経て、そのような問題の出題頻度は下がり、今に至っています。

が、PDF内に示した2−〈2〉を見ても分かるように、「つるかめ算」の「面積図」は知っておいても損はありません。ただし、「面積図」に限らず、何らかに気付くと学んだことが使える、何らかに気付かないと解けない、と言う多様な問題に変化しながら出題されていることを理解しておく必要があります、]


さて、この「つるかめ算」には数え切れないほどの応用問題があるのですが、過去最も良く出題されたタイプの問題を一例として紹介しておきます。


例22

自動車と自転車と三輪車が合わせて30台あります。タイヤの数を数えたら全部で84個でした。次の場合の自動車、自転車、三輪車の台数を求めなさい。


(1)自動車と三輪車の台数が等しいとき。


(2)自動車の台数が自転車の台数の3/5(5分の3)のとき。


(3)自転車が三輪車より3台多いとき。



さて、急に難しくなったような・・・異なる「単位あたりの量」を持つものが3つです。

が、この程度の問題も、「定番」と言われる、まだまだ易しい問題の一つになります。


そしてあと1問。次の問題は、「つるかめ算」に見えるけど「つるかめ算」ではない、しかし「つるかめ算」の基本的な考え方を知らないと解けない問題です。

例22例23は次回解説を行う予定です。それまでにどんな解き方があるのか考えてみてください。


例23

1個200円のチョコレートと1個180円のクッキーと1個30円のキャンディを30個買い、4000円支払いました。それぞれ何個ずつ買いましたか。



それではお待たせしました。前回紹介した

2024年度「女子学院中学校」入試問題の解説です。


問題

□にあてはまる数を入れ、【  】内はいずれかを○で囲みなさい。


1個430円のケーキと1個180円のクッキーを買います。ケーキは必ず箱に入れ、箱は1箱20円で2個まで入れることができます。ケーキとクッキーを合わせて19個買ったとき、箱代を含めた代金の合計は6290円でした。買ったケーキの個数は


【  偶数  ,  奇数  】で、⬜︎個です。


考え方

なぜ偶数、奇数を選ばせる問いが先にあるのでしょう。

作問者の意図を汲み取ると、そこにヒントが見えてきます。

まずは偶奇の決定をしてみましょう。


解1、解2共通

代金の10の位の数字に着目します。

ケーキと合計額は奇数の3と9、それ以外のクッキーと箱は偶数の8と2。

ケーキ(奇数)が偶数個ではその金額は偶数になり、合計額の奇数には絶対になりません。

よってケーキは奇数個でなければいけません。


これにより、箱の内1箱はケーキが1個しか入っていないことになります。

ここで、例えば「もしあと1個ケーキを買ったら」と考えると、買った個数は全部で20個(19+1=20)、合計額も430円増え、6720円(6290+430=6720)になります。


解1

ケーキ2個について箱1箱を使うので、そのセットの合計は880円(430×2+20=880)です。

これを1組と考え、クッキーも2個を1組と考え、360円と考えます。

ケーキとクッキーを合わせて20個買うことは、これを10組買うことと同じなので、「つるかめ算」の考え方が使えます。[ここまで考えられる子が、このあと「面積図」など使うことはないでしょう。]

ケーキの個数を出したいので、10組全部クッキーを買ったと考えた360×10を利用します。

(6720−360×10)÷(880−360)=6

これは、クッキー(2個)1組を、ケーキ2個と箱1箱の1組に取り替えた組の数です。

よって、ケーキは11個(2×6−1=11)、箱は6箱(1×6=6)、クッキーは8個(19−11=8)であったことが分かります。

計算で出てくる6は、「個」ではなく「組」であることに注意してください。


解2

ケーキ2個で1箱20円必要な箱代を、ケーキ1個買うごとに10円(20÷2=10)かかる、とすることができ、ケーキ1個の代金を箱代を含めて440円としてしまえば良いことに気付きます。[ここまで考えられる子が、このあと「面積図」など使うことはないでしょう。]


あとは簡単な「つるかめ算」です。ケーキの個数を出したいので、20個全部クッキーを買ったと考え、

(6720-180×20)÷(440-180)=12

これは、ケーキを1個増やしたときの個数なので、ケーキは11個(12-1=11)、箱は6箱(12÷2=6)となり、このときクッキーは8個(19-11=8)になります。


解1解2共通

答えを求めた後はしっかりと確かめましょう。

430×11+180×8+20×6=6290


大丈夫ですね。よって答えは、奇数に○を付け、11を書いて終了です。


さて、これらの解き方では、ケーキが奇数個であることから、あと1個ケーキを買い、ケーキの個数と箱の数をうまく「揃える」ことで簡単に解けるようになりました。

また、いろいろな意味で「揃える」(ケーキ2個と箱1箱を1組としクッキーも1組2個に揃える、等)と言う考え方は、様々な問題で利用できるものなので、必ず身に付けておいて欲しいものです。


次に・・・10の位の偶奇に気付かなくても、この問題には裏技のような答えの出し方もあります。なんか「つるかめ算」っぽい。と気付いたら・・・


解3?

取り敢えずは全部クッキーと考えてみて実際との違いを求めてみる。

6290-180×19=2870(円)


1個180円のクッキーを1個430円のケーキに取り替えると1個あたり250円(430-180=250)増えるので、250で割ってみると、

2870÷250=11あまり120


ん?これって、ケーキが11個、箱が6箱(120÷20=6)ってことでは?

よって答えは、奇数に○を付け、11を書いて終了。

もちろん確かめを必ず行いましょう。


さて、この解き方であれば1分もかかりません。

果たして、この解き方は理論的に正しいのでしょうか。


結論から言うと「正しい」のですが、(後からでも)次のことを理解しておく必要があります。


ケーキの個数が多く、箱だけの代金が、ケーキとクッキーの1個あたりの差250円以上になった場合には、商と余りがズレるので気を付ける、と言うことが分かっていれば最も早い解き方になります(この問題はズレることなく答えが求まっただけ、と言うことを理解すればマルです)。

例えば、ケーキ25個、箱13個(260円)のような答えになる問題のときは、「全体量」の「差」を、「単位あたりの量」の「差」250で割ったときの商と余りが

26あまり10

と出ます。このようなときには、商を1減らし余りに250を加えることで

25あまり260

となり、求める答えを出すことができます。

これでも出なければ、更に商を1減らし余りに250を加えて調べていくことで、解けることが分かると思います。もちろんこの問題の場合、余り(の10の位)が偶数になった段階で、商を2ずつ減らし余りに500ずつ加えて調べれば良いことにも気付いたりします。このような「調べる」問題も良く出題されています。

ただ、このようなことを入試本番で理解し気付けるようであれば、最初の「解1、解2」で普通に解いていることでしょう。この「解3?」のような方法は、あくまでも入試本番の時間がないときに、何となく多分これで答えが出ると「推測」し、使うものです。

例7で、「姉の6/7」の分母7をもとに答えを出す手法と同じ、「個々の問題」で何かに気付いたら何でもやってみる。との解き方です。


このような解き方を絶対に否定せず、定番の解き方を覚えさせるとともに、柔軟な考え方も高めていくように育てていくことで、本番に強い子になっていきます。「算数」は「数学」と違い、「検証」「証明(説明)」は後からでも構いません。

何となく、こうかもしれない、これが使えるかも、と子供が思ったもの(推測)を大切にすること。そしてそれが正しいかどうか説明してあげるのは、教える側の仕事です。

ただし、繰り返しになりますが、「定番」の解き方がすぐに使えるようにしておくこととの両輪であることも理解させ、「定番」にしっかりと慣れて覚えておくことの大切さ、も感じ取れるように進めていくと良いでしょう。



さてさて、またまた長くなってしまいました。なるべく短く区切りたいと思っているのですが・・・ご容赦の程を・・・



次回更新は2月20日(木)頃の予定です。


それではまた!!



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