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suugakusha

算数と数学33 和一定・差一定・年齢算(「オマケ問題」の解説を追記しました)

更新日:12月5日

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追記

「算数と数学32 分配算」に掲載した「オマケ問題」の解説を、次回(「算数と数学33」)掲載と書きながら掲載していませんでした。誠に申し訳ありません。

(内容的に長いので別の回に解説を行う予定とする旨を書き忘れていました。)

遅くなってしまいましたが、「オマケ問題」の解説を後半に掲載しております。

そのため、かなり長いものとなってしまいましたが、最後までお楽しみください。

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こんにちは!


今回は、和一定、差一定の基本問題と年齢算の基本問題についてお話を進めていきます。


和一定、差一定の問題とは、その名の通り、和や差が変わらず一定になっている問題のことです。

算数では、変わらないところに着目する(目をつける)問題が数多くあります。その逆に、変わったところに着目し、なぜ変わったのかを考えさせる問題もあります。それらの違いをはっきりさせるためにも、変わらないところに着目させる問題を基本部分から身に付けておかなければいけません。


それでは基本となる例題をいくつかあげていきます。


例9(和一定)


(1)お姉さんと太郎くんは、カードを5:1の割合で持っていましたが、お姉さんが太郎くんにカードを10枚渡したので、持っているカードの枚数は5:3になりました。

今太郎くんは何枚のカードを持っていますか。


(2)お姉さんと太郎くんは、カードを5:1の割合で持っています。もしお姉さんが太郎くんにカードを10枚渡すと、持っているカードの枚数は5:3になります。

今太郎くんは何枚のカードを持っていますか。


この(1)、(2)は同じ解き方ですが、「今」と言う言葉での間違いをしないように(1)、(2)としました。

(1)の「今」は、お姉さんが太郎くんにあげた「あとの」枚数で、(2)の「今」は、お姉さんが太郎くんにあげる「前の」枚数ですね。


この問題の特徴は、お姉さんが太郎くんにカードを渡しても、二人のカードの枚数の「和(合計)」は変わらない、と言うところです。

よって、その「和」に着目して、最初の5:1の和5+1=6と、カードのやり取りをした後の5:3の和5+3=8の、6と8の最小公倍数24に和を揃えます。つまり

5:1の和の6は、その4倍が24なので、それぞれに4をかけて20:4とします。

5:3の和の8は、その3倍が24なので、それぞれに3をかけて15:9とします。

これによって、20-15=5(9-4=5でも構いません)

これを⑤とすると、この⑤が10枚となることが分かります。

よって

⑤→10枚

①→2枚

このことから、(1)ならば、あとの方の〔○の15〕(まる付き文字です。以下同)と⑨を、(2)ならば、最初の方の〔○の20〕と④を求めれば終わりです。

(1)お姉さん30枚、太郎くん18枚

(2)お姉さん40枚、太郎くん8枚

がこの問題の答えです。


ところで、次のような問題も和一定の問題と言えますが…


お姉さんは40枚、太郎くんは8枚のカードを持っています。

お姉さんが太郎くんに何枚かのカードを渡したところ、お姉さんと太郎くんのカードの枚数の比が、5:3になりました。お姉さんは太郎くんに何枚のカードを渡しましたか。


この問題は、よく読めば、最初の二人の和(合計)が分かっているので、結果として「分配算(比分配)」と同じですね。その和48(40+8)枚が、⑧(⑤+③)に当たるので、あとは簡単です。

一つのことに捉われず、問題の本質を見抜ける力が欲しいところです。


例10(差一定)


お姉さんは27枚、太郎くんは15枚のカードを持っています。


(1)今日、お姉さんと太郎くんは、お母さんに同じ枚数のカードを買ってもらったので、お姉さんと太郎くんの持っているカードの枚数の比は5:3になりました。お母さんに買ってもらったカードの枚数は一人何枚ですか。


(2)お姉さんと太郎くんが、それぞれ同じ枚数だけ弟にカードを渡したところ、お姉さんと太郎くんのカードの枚数の比は、2:1になりました。弟は二人から合わせて何枚のカードをもらいましたか。


例11(差一定)


お姉さんと太郎くんの持っているカードの枚数の比は9:5です。


(1)今日、お姉さんと太郎くんは、お母さんに一人3枚ずつカードを買ってもらったので、お姉さんと太郎くんの持っているカードの枚数の比は5:3になりました。今、お姉さんと太郎くんはそれぞれ何枚のカードを持っていますか。


(2)お姉さんと太郎くんが、それぞれ3枚ずつ弟にカードを渡すと、お姉さんと太郎くんと弟のカードの枚数の比は、6:3:2になります。今、弟は何枚のカードを持っていますか。


例10も例11も、姉、太郎くんの二人とも同じ枚数だけカードが増えたり減ったりしています。このとき、二人のカードの枚数の差(違い)は変わりません。この差の部分に着目するのが「差一定」の問題の特徴です。


例10(1)は、二人の最初の枚数が分かっているので、

27-15=12

この12枚が、⑤-③=②の、②に当たります。よって、

②→12枚

①→6枚

⑤→30枚

③→18枚

となり、お母さんに買ってもらった、つまり増えた分が

30-27=3(枚)となります(18-15=3でも良い)。


(2)も基本は変わりません。今度は二人のカードの枚数が減っただけです。

27-15=12

②-①=①

①→12枚

②→24枚

15-12=3(27-24=3)

問題文をしっかり読んで、

3×2=6

弟は二人から合わせて6枚のカードをもらったことになります。


例11も基本は同じく「差(違い)」が変わらない問題です。ただ、「差」の部分の比を揃える必要があるため、例10より少し手間がかかります。

(1)

⑨-⑤=④

❺-❸=❷

4と2の最小公倍数は4なので、❷を④にするために、●文字の数をそれぞれ2倍すると○で表せます。

お姉さんは⑩、太郎くんは⑥になりますね。

これで、⑩-⑨=①(⑥-⑤=①)が、増えた3枚と分かります。

買ってもらった、ので、あとの⑩と⑥が「今」の姉と太郎くんの枚数になります。

①→3枚

⑩→30枚

⑥→18枚

姉は30枚、太郎くんは18枚になったことが、このようにして求められます。


(2)も解き方はまったく変わりません。姉、太郎くんの二人の枚数が減っただけです。

この問題は、6:3:2の、姉と太郎くんに当たる数字の6:3を用い、最初の9:5の

⑨-⑤=④と、❻-❸=❸の、4と3の最小公倍数12に合わせると後半が簡単になります。

9:5はそれぞれ3倍し、〔□の27〕と〔□の15〕

6:3はそれぞれ4倍し、〔□の24〕と〔□の12〕

とすることで、差に当たる部分を見て、

〔□の3〕→3枚

〔□の1〕→1枚

6:3:2=24:12:8から

〔□の8〕→8枚

あとは「今」に気を付けて

8-3×2=2とするだけです。


さて、ところが、「比」の基本は、なるべく簡単にして用いることが薦められているので、姉と太郎くんの比6:3を2:1にした場合、次のような解き方になります。


⑨-⑤=④

❷-❶=❶

最小公倍数の4に合わせると、

❷と❶は、⑧と④になるので、

⑨-⑧(⑤-④)=①

①→3枚

となり、姉と太郎くんがそれぞれ3枚ずつ弟に渡すことで、3人の比が6:3:2になることが分かります。

上の①→3枚から求められる⑧→24枚と④→12枚は、二人がそれぞれ3枚ずつ渡したものとしたときの枚数なので、24枚が『6』の割合、12枚が『3』の割合となります。

弟の枚数は『2』の割合なので、8枚となりますが、これは姉と太郎くんから3枚ずつもらったあとの枚数です。よって、「今」弟が持っている枚数は

8-3×2=2

となります。

「比」を簡単にすることで後半難しくなりますが、文をしっかりと読み解く力が試されます。



さて、これらの「和一定」「差一定」の問題は、○○算の中に含める必要はありません。○○算に含まれる問題は重ねて教えれば良いだけです。

和が変わらない問題は「和一定」、差が変わらない問題は「差一定」の問題として覚えたり、他の解き方がないかなど、いろいろと応用が効くようにする方が大切です。また、問題を解くときには、変わらないところはないか、をまず考えることが基本なので、「和一定」「差一定」と言う言葉を覚えておくこと自体が役に立ちます。

算数の問題を、無理やり○○算の中に押し込める必要はなく、覚えやすく、解きやすくするために名前を付けているだけです。


次に「年齢算」の「基本」問題を見てみましょう。


例12(年齢算)

いとこのお姉さんは27歳、いとこの次郎くんは15歳です。

(1)ー1

二人の年齢の比が5:3になるのは何年後ですか。

(1)ー2

二人の年齢の比が2:1だったのは何年前ですか。

(2)ー1

二人の年齢の比が5:3のとき、次郎くんは何歳ですか。

(2)ー2

二人の年齢の比が2:1のとき、次郎くんは何歳ですか。


例13(年齢算)

いとこのお姉さんといとこの次郎くんの年齢の比は9:5です。

(1)3年後に二人の年齢の比は5:3になります。今、次郎くんは何歳ですか。

(2)3年前、二人の年齢の比は2:1でした。今次郎くんは何歳ですか。


もう解説は不要ですね。例12、13は、例10、例11とまったく同じ問題であることが分かります。

例12(2)は、何年後か何年前かが分かりませんが、これまでの解き方であれば何ら問題はありません。


が、線分図を用いる場合、図のかき方が違うので、増えるのか減るのかが分からないと図がかけません。さて、どうしましょう。


例えば小さい方の年齢が1歳のときには、それに対してもう一方は何倍にも大きくなることから、過去に戻ると小さい方の割合が小さく、未来では小さい方の割合が大きくなることも、線分図を用いる場合にはここで覚える必要があります。

例12(2)ー1は、例えば27×3/5=16.2。実際の15歳の方が小さいので、この割合を増やすために未来と考えます(増える線分図)。

例12(2)ー2は、例えば27×1/2=13.5。実際の15歳の方が大きいので、この割合を減らすために過去と考えます(減る線分図)。

なかなか難しいですね。まぁ図が違っていたらかき直せば済むことですが、本来このようなことが分かっていないと図はかけません。


「年齢算」と言われるものの「基本」は「差一定」の問題です。

ただし、年齢算特有の問題もあることで、敢えて「年齢算」と言う言葉が用いられています。


それではこれまでの問題の「線分図」を紹介していきましょう。「線分図」はとても役に立つ場面もあるので、読み取り能力を高めた後に「線分図」のかき方も学んでいくことが理想です。





ところで。

例9の「和一定」、例10、例11の「差一定」の問題を「倍数算」に入れ、例12や13を「年齢算」に入れる場合もありますが。。。良く読めば同じ問題と分かります。

そう言えば、前回の「比分配」のような問題も「倍数算」に入れている塾もあるようです。そうなると「倍数算」って何種類あることになるのでしょう。~倍のような問題を「倍数算」としたら、何でもかんでも「倍数算」になってしまいますね。

これではどのような問題をどのように解くか、子供達が分からなくなるのは当然でしょう。


繰り返しになりますが、本質を見抜く力を養うことを目的とせず、ただ「○○算はこう解くんだ」などの教え方では意味がありません。

「○○算」と言うもの自体、特に今では曖昧な分類と教えられ方になっているのが現状です。今回このブログを書くにあたっていろいろと調べたのですが、どれだけ意味不明な算数があるか検討もつきません。今、算数の世界があり得ないほど混沌としています。



ーーーーー追記ーーーーー

遅くなってしまいましたが、「オマケ問題」の解説です。


オマケ

例8(差分配

姉、太郎くん、弟は合わせて50枚のカードを持っています。

今3人がそれぞれ持っているカードから、お姉さんは太郎くんに6枚渡し、太郎くんは弟に5枚渡し、弟はお姉さんに2枚渡したら、お姉さんと太郎くんは同じ枚数に、弟だけは1枚少なくなりました。

姉、太郎くん、弟がはじめに持っていたカードの枚数はそれぞれ何枚ですか。



この問題は、文をしっかり読むことの大切さが良く分かる問題になっています。


最後の部分の

「お姉さんと太郎くんは同じ枚数に、弟だけは1枚少なくなりました。」


を読み取れば、弟があと1枚増えることで3人が同じ枚数になることが分かります。よって


(50+1)÷3=17


これが、最後の姉と太郎くんの枚数となり、弟はこれより1枚少ないので16枚になります。

ここをしっかりと読み取り、最初はただの「差分配」の問題である、と気付けない限り解けない問題です。何も読まずに初めから「線分図」などをかくようになることがどれだけの弊害となるか、良く分かる例とも言えます。

例8(差分配)←この問題はここに書いているのですぐに気付けたと思いますが、何もない状態で解いた場合、すぐに「差分配」と気付けるか、がポイントですね。)


この後は


「お姉さん」は、太郎くんに6枚渡し、弟から2枚もらった結果が17枚なので、

太郎くんから6枚返してもらい、弟に2枚返せば元に戻ります。よって「お姉さん」は

17+6ー2=21


以下同様に、

「太郎くん」は、お姉さんから6枚もらい、弟に5枚渡した結果が17枚なので

17ー6+5=16

「弟」は、太郎くんから5枚もらい、姉に2枚渡した結果が16枚なので

16ー5+2=13


これで、それぞれが最初に持っていたカードの枚数が出ました。

3人合わせて50枚になっていることも確かめます。


さてここで、「差分配」に気付き、姉と太郎くんが17枚、弟が16枚と分かった後、果たして「線分図」は必要でしょうか。


「お姉さん」は、太郎くんに6枚渡し、弟から2枚もらった結果が17枚なので、

太郎くんから6枚返してもらい、弟に2枚返せば元に戻る。


ことが分からない限り「線分図」」すらかけません。と共に、上のことが分かった場合、結局線分図などかかなくても解けてしまいます。

小4までの生徒には、このようなタイプの問題をたくさん解かせることが後々の大きな力になります。そのときに最も重要なことは、気付く力、読み取る力を最大限に高めることを目的とすることです。


「線分図」や「面積図」など、算数特有の解き方はとても有効なアイテムであることは確かですが、初めから「~図」ありき、では、せっかくの「脳」力を鍛える時期を失ってしまい、「脳」力がどんどん削られてしまいます。これは中学以降の力にも影響してしまうことなので、とても大きな問題です。

有効なアイテムである「線分図」や「面積図」などは、読み取る力を養った後でも十分に間に合います。それらは徐々に、少しずつ、かき方や使い方を覚えていけば良いことです。

まずは文をしっかりと読む癖を付けていくことを大切にして欲しいと願っています。

ーーーーー追記終了ーーーーー



さて、次回更新は10月17日(木)頃の予定ですが、もしかすると24日にずれ込むかもしれませんのでよろしくお願いします。


それではまた!!

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