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suugakusha

算数と数学31 和差算

更新日:9月17日

こんにちは!


今回からしばらく、中学入試算数でも扱われる「特殊算」についてお話をしていきたいと思っています。


「特殊算」って何?

と思われる方もいると思いますが、例えば「和差算」や「つるかめ算」と言ったら聞いたことがあるかもしれません。また、過去、中学受験をした方であれば、あぁ何かやった気がする、と懐かしく感じることでしょう。


中学に進学すると、正負の数から文字式、方程式へと「算数」から「数学」に変わることでほとんどの方が忘れてしまいます。

せいぜい、何か線分図や面積図を覚えさせられたなぁ…などと言う記憶がある方もいると思いますが、このブログでは、「特殊算」と言われるものの「本当の意味での基本」を中心に、誰でも楽しめるものにしたいと思っています。

意外と難しい、習ったことがない、など、新しい発見があるかもしれません。


さて、「特殊算」に関わらず、算数(や数学)には様々な用語や使い方が登場します。

その部分も少しずつ、各回で簡単な説明を含めてお話を進めていきます。



算数では「和」「差」「積」「商」と言う言葉が頻繁に出てきます。この4つはそれぞれ、

和→たし算の答え(結果。以下同)

差→ひき算の答え

積→かけ算の答え

商→わり算の答え

に当たります。

(たし算そのもの、またはそのきまりや使い方のことは加法、同じくひき算は減法、かけ算は乗法、わり算は除法と言い、この4つで「加減乗除」と言います。)

算数ではこの、「和」「差」「積」「商」に着目する(目をつける)ことを基本とします。



では今回は、すべての特殊算の最も基本となる「和差算」についてです。

和差算なんて知ってるよ~。簡単なやつでしょ?

と言わずに、今後のために、最も大切なものが含まれていますので、どうぞお楽しみください。


和差算

例1

お姉さんと太郎くんが、合わせて2千円のお小遣いをもらいました。

太郎くんはお姉さんより100円高いものを買い、二人で2千円すべてを使いました。

太郎くんとお姉さんはそれぞれいくらのものを買ったのでしょう。


これはほんの一例ですが、この問題には「和」と「差」が出てきます。

そこから「和差算」と言われるようになりました。「和差算」は古くからある問題です。

このような問題が出てくる学年(小4の頃)では、どちらがどちらよりどうなっているのか、をなかなか理解できない子もいます。

このときにすぐに線分図に逃げるのではなく、言葉としては5年生以降に出てくる、「もとになっているもの」はどちらかを読み取らせるようにしてみましょう。

(小5以降では「割合」と言う項目で、「もとにする量」「比べられる量」「割合」と言うものが出てきますが、たし算やひき算の中にも、もとになっているのはどれか、があります)


「太郎くんはお姉さんより」の文では、太郎くんはお姉さんと比べられていることになります。

この場合、太郎くんが比べられているので、お姉さんがもとになっていることが分かり、「お姉さんより100円高い」ものを買った太郎くんは、お姉さん+100円のものを買ったことになります。つまり


もとにする量→お姉さん

比べられる量→太郎くん

[逆に太郎くんをもとにすると、お姉さんは太郎くんより100円安い(太郎くん-100円の)ものを買ったことになります]

と言う、このような概念をここで理解できる子には理解させておく、ことにより、後々の複雑な問題を解く鍵にもなります。


文で書くと子供にとってはとても難しく感じるのが分かります。しかしこの基本は、小学校1、2年生の頃から学んでいるのです。2本の鉛筆(など)の絵を見て、どちらがどちらよりどうなっているのかを考えさせて

①のえんぴつは②のえんぴつより、3cm長い

のように答える問題です。この場合、②のえんぴつがもとになっています。

ただしこのときには、「目で見て答える」方法がとられています。

これを、文や言葉で理解して捉えられるようにすることが一つの基本です。

このような基本を一つずつ学ぶことが、文を読み取る能力(脳力)に繋がっていきます。



では、上の例1はどのように解けば良いのでしょう。


今学んでいる生徒や過去に学んだ方は、下の解2しか習っていないと思いますが、解1も理解しておくことで後々の力になります。この2つはどちらも大切な考え方なので、必ず理解して欲しいところです。


解1(今ではほとんど教えられることがない考え方です)

2千円のお小遣いを全部使って、太郎くんとお姉さんが同じものを買ったとしたら?

2000÷2=1000で、1人千円のものが買えます。

太郎くんとお姉さんは、その千円よりいくら高かったり、安かったりすれば、100円の違い(差)になるのかを考えましょう。


お姉さんが使わなかった分、太郎くんは千円より高いものを買えたのですから、2人が買ったものは100÷2=50の50円だけ、つまり同じ金額だけ千円より高かったり安かったりしたものだったことが分かります。

なので、太郎くんは1000+50の1050円のもの、お姉さんは1000-50の950円のものを買ったことになります。


これがちゃんと100円の違い(差)になっていることを確かめさせ、50円高いことと50円安いことの違い(差)は50+50=100(円)と言うことも理解させていきます。

違い(差)はそのときどきで、たすときもあればひくときもある、と言うことに気付かせることも、この解法の狙いの一つです。



解2(こちらが一般的な解法として良く知られています)

もしお姉さんが太郎くんと同じものを買おうとすると、100円足りないので、また100円お小遣いをもらわなければ買えません。そうするとお小遣いは全部で2000+100の2100円もらうことになります。これで2人は同じものが買えます。そのときの1つの金額は2100÷2=1050となり、1050円になります。

この1050円は、高いものを買った太郎くんが使ったお金なので、太郎くんが買ったのは1050円のもの、お姉さんが実際買ったのは、それより100円安い950円のものだったことが分かります。


これは、金額の小さいお姉さんに合わせれば、

2000-100=1900

1900÷2=950←お姉さんが買ったもの

950+100=1050←太郎くんが買ったもの

のようにも出せます。一般的にはこのように小さい方に合わせる方が考えやすくなります。このときは例えば、「太郎くんがお姉さんと同じものを買ったら100円余るよね。」などとお話を進めていきます。


この解き方は、和差算の名前の由来となった、和と差に着目すること、また、線分図でも表しやすいので、これが一般的な解法となっています。もちろん「和差算」と言えばこちらを覚えておくだけで構いません。


が、中にはもしこうだったら、なども考えさせずにすぐに線分図を書かされる場合もあるでしょう。しかし初めて学ぶ特殊算を利用し、柔軟な頭脳を育てていくアイテムとして利用することもできるのです。この先の様々な問題に対応でき得る能力(脳力)を培うためにも、すぐに~図と言う考えだけは排除していかなければいけません。


本当の基本は線分図や面積図を使うことではありません。

問題の本質を見抜き、何に着目するのか、何がもとになっているか、もしこうだとしたらどうなるのか、文を読み解き、何かに気付くこと、そこを大切にしていくことで脳が大きく成長します。


そしてそれらを経た後、目で見て確かめる、考えをまとめやすくする、更に複雑な問題では利用できるときには利用する、ためにも、線分図や面積図、割合や比、ダイヤグラムなど、「算数ならではの考え方、解き方」は身に付けておいて損はありません。これらを否定する必要もまた、ない訳です。


下のPDFには、今回の問題をより良く表している解き方を載せていますので、これも併せてお楽しみください。





さて、いかがでしたか?

次回更新は、7月18日(木)頃を予定しています。

それではまた!




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