こんにちは!
では、オマケ問題の詳しい解説をどうぞ♪
【オマケ問題】
数字を次のように並べます。
1,2,4,8,16,32,64,128,256,512,1024,2048,・・・
これを、1番目は1、2番目は2、3番目は4、・・・
7番目の64は6+4=10、1+0=1のように、各位の数字を足し続け、1桁の数字として表します。よって7番目の数字は「1」となります。
12番目の2048は2+0+4+8=14、1+4=5。よって「5」となります。
では、100番目の数字はいくつになるでしょう。
この問題の数の並び方は、1,2,4,8,7,5の、6個の数字の繰り返しになっていました。
なぜこのような繰り返しになるのでしょう。
まずはこの
1,2,4,8,16,32,64,128,・・・・①
と言う数字を、累乗の形で表してみます。
累乗の形とは、同じ数字(や文字)を何回かけたかを示す表し方です。
本来数字の右肩に小さくそれ(何回かけたか)を書きますが、ここでは「べき乗」の表し方で示します。分かりやすいようにかけ合わせる回数を表す数字を小さくします。
例えば
2を2回かけ合わせたときは、2×2=2^2(2の2乗)
2を3回かけ合わせたときは、2×2×2=2^3(2の3乗)
2を4回かけ合わせたときは、2×2×2×2=2^4(2の4乗)
のようにします。
つまり、上の①の並びは、
1,2^1,2^2,2^3,2^4,2^5,2^6,2^7,・・・
となります。
2=2^1と表せることは分かると思いますが、1はどのように表せば良いのでしょう。
ここから少し難しいですが、良く読んで欲しいところです。
a^2×a^3(aの2乗かけるaの3乗)はaの何乗になるでしょうか。
aの2乗はa×a
aの3乗はa×a×aなので、
a^2×a^3=(a×a)×(a×a×a)=a^5となりますね。つまり
a^m×a^n=a^(m+n)
(aをm個かけたものとaをn個かけたものはaをm+n個かけたものと等しい)
とすることができます。これは数学ではとても大切な考え方です。
では、
a^6÷a^2(aの6乗わるaの2乗)はaの何乗でしょう。
aの6乗はa×a×a×a×a×a
aの2乗はa×aなので、
aの6乗のa×a×a×a×a×aを分子
aの2乗のa×aを分母
と考えると、aが2個約分されてaが4個残ることが分かります。
つまり、
a^6÷a^2=a^(6ー2)=a^4
となりますね。
この、かけ算やわり算で利用する計算を、「指数法則」と言います。
累乗の乗除計算で指数部分は、かけ算はたし算、わり算はひき算になることを示しています。
このことを用いると、例えば
a^3÷a^3=a^0
同じもの(上ではa^3)をわり算すると答えは1ですから、
a^0=1
と表すことができます。
(わり算の考え方を用いるので、aには0「ゼロ」を定義付けません。※)
高校数学では、マイナス乗も出てきます。
これも、上の考え方を用い、例えば
a^2÷a^6=a^ー4(aのマイナス4乗)は
1/a^4(aの4乗ぶんの1)となります。
今回はここは不要なので、説明は省略しますが、
①n>mのとき
a^n÷a^m=a^(n-m)
②n<mのとき
a^n÷a^m=1/a^(m-n)
③n=mのとき
a^n÷a^m=a^(n-m)=a^0=1
となります。もちろんこれも数学ではとても大切なので、指数のかけ算と共に覚えておいて欲しいものです。
さて、これで上の①の並びは、
2^0,2^1,2^2,2^3,2^4,2^5,2^6,2^7,・・・
となることが分かりました。
ここでもう一つだけ指数法則の計算を紹介します。
(a^2)^3はaの何乗になるでしょう?
(a^2)が3回かけ合わされるのですから、
(a^2)^3=(a^2)×(a^2)×(a^2)
=(a×a)×(a×a)×(a×a)
=a^6
同様に、(a^m)^nはa^mがn回かけ合わされるので
(a^m)^n=a^mn
となります。
これでようやく今回の問題の解説の基礎ができました。
では、すでに気付いた方もいると思いますが解説していきましょう。
この問題の意味から、前回計算した結果から
1=1
2=2
4=4
8=8
16=7
32=5
64=1
としていたものを、指数を用いて表すと
2^0=1
2^1=2
2^2=4
2^3=8
2^4=7
2^5=5
2^6=1
となります。
ここで、例えば
2^7=2^(6+1)=2^6×2^1
2^6=1なので
2^7=1×2^1=2
同様に
2^8=2^6×2^2
=1×2^2=4
この問題の並びは1=2^0から始まっているので100番目は2^99であり、
このあともすべて2^6=1であることを用いると、100番目の数字は
2^99=2^(6×16+3)
=(2^6)^16×2^3
=1^16×8
=1×8(1^16=1なので)
=8
との答えが導き出されます。
これは更に、文字で表すとすっきりします。
2^6=1より、nを1以上の整数とし、
2^6n=(2^6)^n=1^n=1
また、n=0のとき
2^6n=2^0=1より
0以上の整数nにおいて2^6n=1が成り立つ。
ここで
k=0,1,2,3,4,5とすると、
2^(6n+k)=2^6n×2^k
=1×2^k
=2^k
よってこの数列はk=0,1,2,3,4,5
すなわち
2^0=1
2^1=2
2^2=4
2^3=8
2^4=7
2^5=5
の6つの数字の並びですべてを表すことができる。
(解説終わり)
さて、いかがでしたか。
単純な6つの数字の並びとなっていることには気付いても、数学的な論証に思い至るまでにはたくさんの知識と更なる気付きを必要とします。
とくに今回の問題は、答えが分かっても、各位の数字をたし続けて1桁の数にしただけで、なぜこんな規則性が生まれるのか不思議に思いませんでしたか?
算数では「気付いて答えを出す」だけで済みますが、数学では「なぜそうなるかの証明」も必要とします。
なんでだろう、不思議だな、と思ったことを、更に深く考えていくことも数学の楽しみ方の一つです。これまでのブログでも、あまり一般的には知られていないことを深堀しているものもありますので、楽しんでみてください。
次回更新は5月30日(木)頃を予定しています。
それではまた!
※0の0乗(0^0)について(今回かなり長いので簡単に)。
「純粋な0そのもの」の「純粋な0そのもの」乗はやはりできません。定義付けどころか「できない」のです。
本当に簡単に言えばこれで終わりです。
が、さすがにそれでは納得がいきません。
そこで数学では、「限りなく0に近い」ものとして、「極限」と言う概念を用いることにしました。
その前に、
例えば、実数範囲において(A≠0かつBが整数でも成り立ちますが、整数範囲における論は省略します)AのB乗(A^B)は、
A<0のときには「連続性」がないため考えません。
例:A=ー3、B=1/2のとき
√ー3=√3i( i は虚数単位√ー1)
(A^1/2×A^1/2=A^(1/2+1/2)=Aより、A^1/2=√A)
となるようなことを「実数範囲において連続性がない」ものとします。
よってAのB乗(A^B)は、
A=0のときはB>0として考え、A>0のときはBは実数全体で考えます。
(A=0のときB<0とすると、Aが分母になるのでできません)
このとき
A=0かつB>0のときは、Bがどのような値としても(例えばBをプラスの方向から限りなく0に近づけても)0になります。
A>0のときには、A^Bは様々な値を取ります(不定形と言います)。
ここを詳しく書くと長くなりますので、下の①だけ理解できれば構いません。
①A>0かつB=0のときは、Aがどのような値としても(例えばAをプラスの方向から限りなく0に近づけても)1になります。
②A>0かつB≠0のときは実に様々です。
一般的には、A、Bには同じ文字(例えばxなど)を用いた様々な式を入れ、その文字をプラスの方向から0に近付ける、と言う試みをします。
Aに与える式とBに与える式によって、もちろん0や1にも収束させることもできますが、+∞(無限大)に発散させることも、ある適当な好きな値に収束させることもでき、逆に収束させないように(振動)することも可能です(収束とは、限りなくその値に近づくことを表します。発散や振動、収束は数学として大切な用語ですが、ある程度言葉通りに捉えて構いません)。
これらのことから、0の0乗を一つに定義付けることはできません。
が、一般的に0の0乗(0^0)を1とすると数学上都合が良いことが多いので、
0^0=1
と定義付ける場面が多く見られると言うことになります。
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