「特別企画」の問題の「解答・解説」編 その2です。
それでは、解説を始めましょう。
解2
例えば、八百屋さんに「リンゴ」「ミカン」「梨」がたくさん売られています。
この3種類の果物から、好きな果物を計10個買うこととします。
何通りの買い方があるでしょう。
これも、知識としておかないととても難しいですね。
どのように求めれば良いのでしょう。
「リンゴ」「ミカン」「梨」の置き場所を、仕切りで作ります。
3種類あるので、仕切りは2つあれば大丈夫です(3-1=2)。
| |
↑ ↑ ↑
リンゴの場所 ミカンの場所 梨の場所
この3か所に、果物を10個の〇で表し、置いてみましょう。
〇〇〇|〇〇|〇〇〇〇〇
例えばこのように置いた場合は、
リンゴ3個、ミカン2個、梨5個を買ったことになります。
〇〇〇〇|〇〇〇〇〇|〇
この場合は、リンゴ4個、ミカン5個、梨1個
〇〇〇||〇〇〇〇〇〇〇
この場合は、リンゴ3個、ミカン0個、梨7個
ですね。
この、〇と|を
10個の〇と2本の線の並び順と考えるとどうでしょう。
解1でも用いた計算
12C10(=12C2)や、
12!/(10!×2!)
が、成り立つことが分かると思います。
答えは66通りですね。
では次に、上と同じ問題で、3種類の果物をそれぞれ少なくとも1つは選ばなければいけないものとしたら、どうすれば良いでしょう。好き嫌いがあってはいけませんよね。
そのときは、「リンゴ」「ミカン」「梨」を1個ずつ、先に取っておけば良いのです。
つまり、
10-3=7(個)
7個は自由に選んで良いことになります。
仕切りは同じ2つで良いので、
7+2=9
よって、計算は
9C7(=9C2)や、
9!/(7!×2!)
が成り立ちます。
答えは36通り、となります。
さて、この考え方が、今回のサイコロの問題に、どう関係するのでしょうか。
サイコロの目は1~6までです。
0(ゼロ)はありません。と言うことは、果物の問題では、少なくとも1個ずつは買う、方の問題と同じことをすれば良いことが分かります。
和を12とすることを考えると、
12-6=6
これで、6個のサイコロすべてで0(ゼロ)にはなりません。少なくともすべて1の目は出ることになります。
しかし、今度はサイコロの目の上限が6であることが問題です。
6個のサイコロですから、仕切りを5つとして考えます。
|||||
↑↑↑↑↑↑
今、この6か所には、すでに1ずつ入っています。
ここに残りの6を、1か所に全部入れると・・
1+6=7??
和を12とすることを考えると、例えば
1,1,1,1,1,7
のようになってしまいます。
この、絶対にあり得ない場合の数は、7の場所を入れ替えれば6通りです。
つまり、果物の問題と同じ計算をしたあと、この6通りを引けば、答えが求められる!
12ー6=6(サイコロ6個に1ずつ与える)
仕切りの数は、
6-1=5
6+5=11
11C6=11C5(6個の〇と5本の線の並び順)
=(11×10×9×8×7)/(5×4×3×2×1)
=462(通り)
462ー6=456(通り)
出ました!!
今回の問題に限れば、わざわざこの「解2」を用いる必要はありません。
しかし、「サイコロ6個で目の数の和が11」までは、できないものを引く必要もなく一瞬で答えが出せます。
11-6=5(0はない)
6-1=5(仕切りの数)
5+5=10
10C5=252(通り)
実は、サイコロが何個だとしても、目の数の和が、そのサイコロの個数に5を足したものまでは、この計算で求めることができるのです。
例えば
「サイコロn個を同時に投げたとき、目の出方は6のn乗通りと考えます。
ではその内、出た目の数の和がn+5となる場合の数は、何通りになるでしょう。」
のような問題は、
=n(n+1)(n+2)(n+3)(n+4)/120(通り)
のように、美しい答えを一瞬に出すことができます。
(手順通り式を立ててみてください)
これを解1で解こうとすると・・・
上のような仕切りの考え方を用いて得られたような、すっきりとした答えの形にはなりません。まとめるにはかなり大変な式になります。
また更に、今回の「サイコロの個数+6」よりも計算は少し複雑になりますが、目の数の和が、サイコロの個数+11までは今回の問題と同じひき算の考え方が利用できます。
長くなり過ぎたので、残念ながらこの解説は省略します。
さて、この「仕切り」と同じ考えを用いる問題は、見た目でなかなか気付かない問題にも良く使われます。
ほんの少し、もしかして、これ「仕切り」使える?
のように、頭をめぐらせるとあっさり解ける問題が、所謂「難関大」と言われる大学入試数学では数多く出題されているのです。
この先大学受験を考えている方は、できれば身に付けておきたい解き方の一つと言えるでしょう。
このお話は、ブログ「算数と数学9」にも少し載せていますので、ぜひ読んでみてください。
それではまた!!
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