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  • suugakusha

COFFEE BREAK 5th cup of coffee つるかめ算などの特殊算についてのお話

こんにちは!


さて、久しぶりのコーヒーブレイクです♪


今回は、中学入試算数で出題されることもある「特殊算」についてのお話をしようと思います。

「特殊算」と言う単語は聞いたことがない、と言う人も、例えば「つるかめ算」と言えば聞いたことがあるかもしれません。

この「つるかめ算」などを含む、文を読み取った後「何らかの特殊な方法を用いて解く」ことから「特殊算」と呼ぶようになりました。


「つるかめ算」は古くは中国3世紀頃の文献にも登場します。「雉兎(きじうさぎ)算」と言われ、日本では縁起物の鶴と亀に置き換えられ、今に至っています。

他の大半の「特殊算」は、様々な中学が「中学入試算数」として出題し、それが算数として認められてきた、と言う経緯で広まりました。


が、結論から先に言うと、見てすぐに分かるような「単純な」特殊算は、ほぼ30年前から徐々に姿を消し、今ではほとんど出題されていません

特に難関中と言われる中学ではまったくと言って良いほど出題されず、出題される場合は「基本は特殊算だが、しっかりと頭を使って先に(またはあとから)何らかのことをしてからでしか解けない」と言う形に変わっています。

「特殊算」の本当の意味での基本は今でも良く出題されているため、中学受験を考えている場合は、どうしても身に付けておかなければいけないものとなっています。


その「本当の意味での基本」とは何でしょう。


私が教え始めた頃、昭和50年代半ばに過去20年分の入試問題を解いたときには、すでに「つるかめ算」は出題されていました。他にも「和差算」「旅人算」や「方陣算」等々もありましたが、今知られている「特殊算」の半数近くは、昭和56年(1981年)頃から爆発的に増えたものです。

また「~算」と言う「特殊算」としての名前が付けられ、分類、確立され始めたのも昭和50年代半ば頃からになります(それまでにも色々な問題が出題されていたものの、当時名前が付けられていたものは限られており、系統化されてはいませんでした)。


そしてこの「特殊算」のピークは昭和56年~昭和後半(せいぜい平成3年頃)まで。どこもかしこも特殊算だらけ、の様相です。

しかし平成になると単純な「つるかめ算」などは段々と出題されなくなり、平成3年に「ニュートン算」(ニュートン算は昭和50年頃にはすでに出題されていますが、そこまで多くの中学で使われることはありませんでした)が、いくつかの中学で多く見られた後は、見てすぐに分かるような「~算」と言われる問題の出題頻度は急速に下がり、特に難関中と言われる中学では出題されなくなりました。


なぜ出題されなくなったのでしょう?


この「特殊算」と言われるもの自体、本来は「頭を使い、理解し、何らかのことに気付くことで解く問題」として、中学入試問題に組み込まれていったのですが、当時の私を含めた塾・予備校の講師陣が、「合格点を取らせるために、理解していなくても解ける手っ取り早い方法」を次々と編み出し(当時私はワクチンと言っていましたが)、ほぼすべての「特殊算」に対するワクチンを作ってしまったことで、中学側と塾・予備校側のイタチごっこが終了し、出題頻度が極端に下がった、と言う経緯があります。


いわゆる

「~算」って線分図や面積図使って解くんでしょ?

と言う、半ば誤った認識が今では良く言われるようになってしまいました。

単純に線分図や面積図さえ知っていれば解ける問題、と言うものは、前述したように今ではほとんど見ることはありません。それが可能だったのは昭和まで。もちろん今でも一部の中学で出題されてはいますが、全体的な出題頻度は極端に減っています。


ではなぜこのような話をコーヒーブレイクに持ってきたのか、ですが・・・


これも前述したように

「特殊算」の本当の意味での基本は今でも良く出題されている、がため、今では昭和の時代よりも更に「正しく」学ぶ必要があるからです。


私が昭和の終わり頃までに、すべての「特殊算」のワクチンを作り上げた後、次には「もしもの世界」と言う算数の捉え方や考え方を、平成になる前から推奨し、平成3年頃には作り上げました。

「しっかりと頭を使って先に(またはあとから)何らかのことをしてから解く」と言う形に変わっている、今現在も出題され続けている問題にも対応できるものを、当時問題が変化していくことを予測したうえで仕上げたもの、となります。

とは言っても特別なものではありません。

こんなこと当たり前じゃん。と思うようなことが、あとからジワっと効いてくる「~算」の解き方が系統化される前の考え方への、いわゆる「原点回帰」を促したものとなっています。これが「本当の意味での基本」となります。


しかし残念ながら、この考え方は今現在定着していません。

平成初期頃から、線分図や面積図などのすでに作られたものを見て、教えやすいと思った教える側の人間が増え続けたことで、「特殊算」は線分図や面積図を使って教える、と考えられてしまったのです。


この先のブログでは、初心に戻って、まずは「特殊算」の基本的な考え方、そしてそれをどのように理解しどのように解いていくか、を、興味のある大人の皆さんに紹介していきたいと思っています。


繰り返しになりますが

「~算」って線分図や面積図使って解くんでしょ?

と言うようなことはまったくありません。

理解を深めるために線分図や面積図を用いることもある、と言うだけです。

第一に問題を楽しみながら読んでもらいたいと思っています。


今現在中学受験を考えている生徒にも有効なものとなっています。

問題に「~算」と言うものが出てきたときに一番やってはいけないこと、それはすぐに線分図や面積図での解き方を教えること。

元々線分図や面積図(他諸々の解法)を作り上げてきた私の世代からすでに代替わりしていることもあり、今では「~算」は線分図や面積図を用いて教えるもの、と言う誤った認識が独り歩きしていますので、もし中学受験を考えているお子さんがいる場合、できれば塾などで教えられる前に読んで欲しいところではあります。

線分図や面積図などを用いれば解ける単純な問題が出題されていたのは昭和まで。教え方、教える順番によっては今ではかえって害になることもあります。


簡単に区分すると「特殊算」については次のようになります。

①昭和50年代半ば以前⇒頭を使い、理解し、何らかのことに気付くことで解いた時代

②昭和50年代半ば~昭和の終わりころまで⇒異常なほどの頻度で「特殊算」が出題されたため、理解していなくても解ける手っ取り早い方法で点数を取っていた時代(いわゆる線分図や面積図など)

③平成以降⇒線分図や面積図などが「特殊算の解法」として、誤った認識で定着していった時代

④同じく平成以降~今現在⇒②③では通用しない⇒①のような原点回帰が必要な時代

(ただし今でも単純な問題を頻繁に出題する学校を受験する生徒に限っては、理解していなくても点数が取れる手っ取り早い手段として用いることは構いません)



さて、次回更新は6月27日(木)頃の予定です。


それではまた!







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