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  • suugakusha

COFFEE BREAK 2nd cup of coffee

更新日:2022年10月28日

こんにちは!


梅雨入りしてから1週間ほど経ちました。

沖縄では、那覇ハーリー頃に梅雨に入り、糸満ハーレー鉦が鳴ると梅雨明け、とも言われていますが・・・

今年もどちらも中止となり、寂しい限りです。

那覇ハーリーには何度か出させてもらいましたが、、終わった後のひーじゃーくぁいがまた最高!

来年こそは各地みな開催されることを心より願っています。



さて。これまで


①1○2○3○4○5○6○7○8○9=1

②1○2○3○4○5○6○7○8○9=10


を用いてお話を進めてきました。



この問題・・・


なんかどこかで見たことがあるような・・と思った方がいるかもしれません。


知っている方であれば


「小町算」を少し変えただけのもの、のようにも見えたでしょう。



「小町算」とは


1~9までの並び順を変えず、数字の間に+、-、×、÷、を入れるか、一部は何も入れずに、隣り合った数字を2桁以上にして用い、


結果を「100」にする、古くからある遊びです。


簡単な例を挙げると


1⃣1+2+3+4+5+6+7+8×9=100

2⃣12+3+4+5-6-7+89=100


など、「数字をくっつけても良いことで様々な解が得られる」と言うことが「小町算」の大きな特徴です。

カッコを用いたり、9~1までの逆順で100を作る、右辺を0や他の数字に変えてみる、など、「小町算」から派生したものがたくさんあります。


なぜ「小町算」と言われるようになったかは諸説ありますが、「小野小町」の名に由来していることは確かなようです。その中の「美しいから」との説には納得するかもしれません。


この「小町算」のもう一つの特徴が、

「方程式などとは違い、ひたすらトライ&エラーで答えを探すしかない」

と言われていることです。


その解の総数は・・・


1961年(日本では1962年)公開のディズニー映画(アニメ)の題名にある数と同じですw

1996年(日本では1997年)には実写版が公開されています♪


これだけの組をすべて見つけるのは至難の業。


でも2,3個見つけただけではどうにもスッキリしない。もう少しやってみようか・・

と、はまる人が少なからずいるわけです。



う~ん。

この「小町算」、本当にただ「闇雲に」試すしかないのでしょうか。



では

「小町算」を、『これまでの記事を参考に』少しトライしてみましょう。



例えば2⃣のような形を作るために、89から始めてみます。


89には+89(正の89)と-89(負の89)がありますが、正の89で検証します。


100と89との差は11(奇数)

8と9以外の残りの数字、1~7までの和は28(偶数)

(↑偶奇を確かめるだけであれば、残りの数字の奇数の個数を数えるだけでも構いません)

よって、そのまま1~7をバラバラで使っても「絶対に」できない(検証不要)。

2数の和と差の偶奇を確かめることででエラーの回避!


つまり、奇数→偶数への変換が「必ず」必要です。


例えば

・1と2(奇数1個)を12や1×2(奇数1個→偶数)にする。

2と3と4を234、23×4、2×34、2×3×4にする、なども同じですね。

・1と2と3(奇数2個)を123、1×23(奇数2個→奇数1個)にする。

・1と2,3と4、5と6(奇数3個)を、12や1×2などのすべて偶数(奇数3個→偶数)にする。

などなどを、この先「偶奇変換」と呼ぶことにします。


上のように、偶奇が一致していない場合は「偶奇変換」を行い、偶奇が一致している場合は偶奇が変わらないように(「偶奇変換」を0回、2回などの偶数回行い)検証を行えば良いことに気付きます。


数字をくっつけたり、積や商(※1)を作る、のあとには、必ずたしひきで「解」を得ることになるので、この「偶奇」に常に注意することで無駄な努力が格段に減ります。



さて、では89(正)と12(12×、12÷を除く単独)でできるかやってみましょう。


12と89の和が101

100との差が1(奇数)

残りの3~7までの和が25(奇数)

よって「検証可能」(当然です)。


(25-1)÷2=12

↑ 

和差算!

(常に小さい方を求めた方が楽です)


このことから3~7までの数字の組で(12と89以外で)

正の和12(負の和13)となるものが「あれば」可能。

101は100より大きいので負の絶対値が大!

(絶対値と符号を分けて考えることで成り立っています)


結果、正の和の組を

(3,4,5)または(5,7)にすれば良い。

(必然的に負の和の組は(6,7)(3,4,6)と決まる)

同符号の和は絶対値の和に共通の符号をつける!


例で示した2⃣が、「理論的に」解けてしまいました。



89(正)と123(単独)とした場合はどうでしょう。


89と123の和は212

100との差は112(偶数)

4~7の和が22の偶数なので検証可能ですが、バラバラでは小さすぎますね。

では、「偶奇変換」を使って出せるかやってみましょう。


〔1〕4と5、6と7の少なくとも一方を45、67にする(偶奇変換0回)

〔2〕4と5、6と7のどちらも4×5、6×7にする(偶奇変換2回)

〔3〕5と6と7を56×7、56÷7、5×6×7にする(偶奇変換0回)

〔4〕4,5,6,7を456×7、4×567、4×56×7、4×5×6×7にする(偶奇変換0回)

(4~7の数字では、4567や45×67、456、45×6、4×56、4×5×6、567、5×67、56、5×6など、偶奇が変換されてしまうものは不可=エラー数減少)


〔1〕45と67の和は112

あれ、、、?

和差算すら使わずできてしまいました。

123-45-67+89=100

確かにあっています。

なかなか美しい形ですね。

(4,5,67や45、6、7ではできないことがすぐ分かりますので省略しています)


〔2〕4×5=20、6×7=42

足りません。


〔3〕5×6×7=210、56×7=392、56÷7=8

残っている数字は4しかないので、できる組はありません。


〔4〕はどう考えても無理と分かります。大きすぎます。



さてさて、このように

「2数の和と差の偶奇の一致による検証と、和差算で得られる数の組の有無」

と、下に簡単に示す「基本パターン※2」の組み合わせによって、「小町算」の解を求めることが可能となります。

三十数年前に紀伊国屋書店で調べたのですが、私の調べた限りこの「偶奇」「和差算」による考え方は見当たりませんでした。

もちろん、エラーが格段に減るとは言っても、偶奇の検証後、和差算の解となる数の組が存在しないこともあり、上のような地道な作業の繰り返しになってしまいますので、「簡単に出せるものを見つける」程度に考えると良いでしょう。


※1:商が「整数」ではない、2つの分数でできるものが1組だけあります。

これも「基本パターン」の一つです。

※2:「234が、そのあとの6や78の倍数、456は8の倍数※3」

「456が2や3の倍数であることから、その前の2や3などを「わる」として利用できるか※4」

など、少なくとも3つ以上の数の組み合わせで積や商を作り、利用できるか調べることを、本来最初に行う「基本パターン」と呼んでいます。

例えば、56がそのあとの7や8の倍数であることや、その前の2や4を利用できるか、なども上の※3、※4と同パターンです。


「基本パターン」にもいろいろありますが、「小町算の解法」を示したい訳ではありませんのでこの程度にしておきましょう。

ただ数字の組み合わせの不可思議さには驚くばかりで、「小町算」が「美しい」と言われるのも納得がいくと思います。



が、しかし・・・

「小町算」をそのまま用いても、やはりただの「遊び」にしかならず、まったく使えない・・・


と言うのも、数字をくっつけると言う

・2桁以上の数字を許すことで子供には複雑になりすぎること。

・2桁以上の数字を用いない場合、+と-だけでは当然できず

+と×を使うものが3組

+と-と×を使うものが11組

+と×と÷を使うものが1組

の中途半端な15組の解しかなく、+、-、×、÷の四則を用いて得られる解がないこと。


などが「教える立場」からすると「美しくない」のです。



そこで考えたのが


①(=1)と②(=10)の組み合わせと、2桁以上の数字の排除です。


とくに①は

+と-だけでも

ミッキーといつもの仲間たちに、チップ、デール、クララベル、ピートの4人を加えた数だけできますし(途中負にならないものは2組)、


+、-、×の組

+、-、×、÷の組(四則計算)


も、カッコを使うことなくできます(お試しください。上の※1のタイプもありますよ!)。



これにより、


・小1~小4の計算の「学び」順に合わせ、使うことができる。

・①②の組み合わせから、2数(整数)の和と差の偶奇の一致が学べる。

・小4で①は和差算により解けることが学べる。

・計算でカッコの使い方を教えたいときには、その条件を加えるだけで良い。

→これにより学びと遊びのどちらにも使える※5。

・交換法則などの計算の工夫、計算のきまりなどにも応用できる。

・①は中1「正負の数」の正、負の認識~加法減法などにも使える。


ことから、


長く「学び」に使える問題として新たな命を吹き込み、①②をテキストに組み込んだのです。


なんと美しい!←自画自賛www



「小町算」を少し変えただけ、、?


いえいえ。

「小町算」とはまったく意味が異なります。


「教える立場」であるからこそ生み出され、深い考察と検証を経て、自信をもって世に送り出した問題です。

(あくまでも①と②のセットで教えることが重要であり、②単独ではただの「暇つぶし」にしかならないことにも気付いていただけると嬉しいです)


※5:カッコ、+、-、×、÷すべて使ったものには

(((((1+2)×3-4)÷5+6)÷7)+8)÷9=1などもあります。

こうなると完全に遊びの領域になりますね。

(カッコの条件は、数字の並びを変えなければどこにいくつでも使って良い、としています)


どうでしょう。少しは楽しんでいただけましたか?

(こんな面倒な頭が痛くなるようなブログ、誰が読むか・・と思いつつw)



さて次回からは、2週間に1回程度の更新といたします。

次は5月26日頃、中学受験で良く出題される規則性の問題から、場合の数、式の展開・因数分解などを題材にお話を進めていこうと思っています。



では!





あ・・・ところで、

先々週、4月28日「算数と数学6」の


卯の花のさける垣根に時ならでわがごとぞなく鶯の声


は、続古今集 巻十七:雑上(01543)

「小野小町」作とされているものです。



う〜ん・・・ハーリーも好きだけど・・・やっぱりディズニーも行きたいなぁ・・・





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