こんにちは!
梅雨入りしてから1週間ほど経ちました。
沖縄では、那覇ハーリー頃に梅雨に入り、糸満ハーレー鉦が鳴ると梅雨明け、とも言われていますが・・・
今年もどちらも中止となり、寂しい限りです。
那覇ハーリーには何度か出させてもらいましたが、、終わった後のひーじゃーくぁいがまた最高!
来年こそは各地みな開催されることを心より願っています。
さて。これまで
①1○2○3○4○5○6○7○8○9=1
②1○2○3○4○5○6○7○8○9=10
を用いてお話を進めてきました。
この問題・・・
なんかどこかで見たことがあるような・・と思った方がいるかもしれません。
知っている方であれば
「小町算」を少し変えただけのもの、のようにも見えたでしょう。
「小町算」とは
1~9までの並び順を変えず、数字の間に+、-、×、÷、を入れるか、一部は何も入れずに、隣り合った数字を2桁以上にして用い、
結果を「100」にする、古くからある遊びです。
簡単な例を挙げると
1⃣1+2+3+4+5+6+7+8×9=100
2⃣12+3+4+5-6-7+89=100
など、「数字をくっつけても良いことで様々な解が得られる」と言うことが「小町算」の大きな特徴です。
カッコを用いたり、9~1までの逆順で100を作る、右辺を0や他の数字に変えてみる、など、「小町算」から派生したものがたくさんあります。
なぜ「小町算」と言われるようになったかは諸説ありますが、「小野小町」の名に由来していることは確かなようです。その中の「美しいから」との説には納得するかもしれません。
この「小町算」のもう一つの特徴が、
「方程式などとは違い、ひたすらトライ&エラーで答えを探すしかない」
と言われていることです。
その解の総数は・・・
1961年(日本では1962年)公開のディズニー映画(アニメ)の題名にある数と同じですw
1996年(日本では1997年)には実写版が公開されています♪
これだけの組をすべて見つけるのは至難の業。
でも2,3個見つけただけではどうにもスッキリしない。もう少しやってみようか・・
と、はまる人が少なからずいるわけです。
う~ん。
この「小町算」、本当にただ「闇雲に」試すしかないのでしょうか。
では
「小町算」を、『これまでの記事を参考に』少しトライしてみましょう。
例えば2⃣のような形を作るために、89から始めてみます。
89には+89(正の89)と-89(負の89)がありますが、正の89で検証します。
100と89との差は11(奇数)
8と9以外の残りの数字、1~7までの和は28(偶数)
(↑偶奇を確かめるだけであれば、残りの数字の奇数の個数を数えるだけでも構いません)
よって、そのまま1~7をバラバラで使っても「絶対に」できない(検証不要)。
↑
2数の和と差の偶奇を確かめることででエラーの回避!
つまり、奇数→偶数への変換が「必ず」必要です。
例えば
・1と2(奇数1個)を12や1×2(奇数1個→偶数)にする。
2と3と4を234、23×4、2×34、2×3×4にする、なども同じですね。
・1と2と3(奇数2個)を123、1×23(奇数2個→奇数1個)にする。
・1と2,3と4、5と6(奇数3個)を、12や1×2などのすべて偶数(奇数3個→偶数)にする。
などなどを、この先「偶奇変換」と呼ぶことにします。
上のように、偶奇が一致していない場合は「偶奇変換」を行い、偶奇が一致している場合は偶奇が変わらないように(「偶奇変換」を0回、2回などの偶数回行い)検証を行えば良いことに気付きます。
数字をくっつけたり、積や商(※1)を作る、のあとには、必ずたしひきで「解」を得ることになるので、この「偶奇」に常に注意することで無駄な努力が格段に減ります。
さて、では89(正)と12(12×、12÷を除く単独)でできるかやってみましょう。
12と89の和が101
100との差が1(奇数)
残りの3~7までの和が25(奇数)
よって「検証可能」(当然です)。
(25-1)÷2=12
↑
和差算!
(常に小さい方を求めた方が楽です)
このことから3~7までの数字の組で(12と89以外で)
正の和12(負の和13)となるものが「あれば」可能。
↑
101は100より大きいので負の絶対値が大!
(絶対値と符号を分けて考えることで成り立っています)
結果、正の和の組を
(3,4,5)または(5,7)にすれば良い。
(必然的に負の和の組は(6,7)(3,4,6)と決まる)
↑
同符号の和は絶対値の和に共通の符号をつける!
例で示した2⃣が、「理論的に」解けてしまいました。
89(正)と123(単独)とした場合はどうでしょう。
89と123の和は212
100との差は112(偶数)
4~7の和が22の偶数なので検証可能ですが、バラバラでは小さすぎますね。
では、「偶奇変換」を使って出せるかやってみましょう。
〔1〕4と5、6と7の少なくとも一方を45、67にする(偶奇変換0回)
〔2〕4と5、6と7のどちらも4×5、6×7にする(偶奇変換2回)
〔3〕5と6と7を56×7、56÷7、5×6×7にする(偶奇変換0回)
〔4〕4,5,6,7を456×7、4×567、4×56×7、4×5×6×7にする(偶奇変換0回)
(4~7の数字では、4567や45×67、456、45×6、4×56、4×5×6、567、5×67、56、5×6など、偶奇が変換されてしまうものは不可=エラー数減少)
〔1〕45と67の和は112
あれ、、、?
和差算すら使わずできてしまいました。
123-45-67+89=100
確かにあっています。
なかなか美しい形ですね。
(4,5,67や45、6、7ではできないことがすぐ分かりますので省略しています)
〔2〕4×5=20、6×7=42
足りません。
〔3〕5×6×7=210、56×7=392、56÷7=8
残っている数字は4しかないので、できる組はありません。
〔4〕はどう考えても無理と分かります。大きすぎます。
さてさて、このように
「2数の和と差の偶奇の一致による検証と、和差算で得られる数の組の有無」
と、下に簡単に示す「基本パターン※2」の組み合わせによって、「小町算」の解を求めることが可能となります。
三十数年前に紀伊国屋書店で調べたのですが、私の調べた限りこの「偶奇」「和差算」による考え方は見当たりませんでした。
もちろん、エラーが格段に減るとは言っても、偶奇の検証後、和差算の解となる数の組が存在しないこともあり、上のような地道な作業の繰り返しになってしまいますので、「簡単に出せるものを見つける」程度に考えると良いでしょう。
※1:商が「整数」ではない、2つの分数でできるものが1組だけあります。
これも「基本パターン」の一つです。
※2:「234が、そのあとの6や78の倍数、456は8の倍数※3」
「456が2や3の倍数であることから、その前の2や3などを「わる」として利用できるか※4」
など、少なくとも3つ以上の数の組み合わせで積や商を作り、利用できるか調べることを、本来最初に行う「基本パターン」と呼んでいます。
例えば、56がそのあとの7や8の倍数であることや、その前の2や4を利用できるか、なども上の※3、※4と同パターンです。
「基本パターン」にもいろいろありますが、「小町算の解法」を示したい訳ではありませんのでこの程度にしておきましょう。
ただ数字の組み合わせの不可思議さには驚くばかりで、「小町算」が「美しい」と言われるのも納得がいくと思います。
が、しかし・・・
「小町算」をそのまま用いても、やはりただの「遊び」にしかならず、まったく使えない・・・
と言うのも、数字をくっつけると言う
・2桁以上の数字を許すことで子供には複雑になりすぎること。
・2桁以上の数字を用いない場合、+と-だけでは当然できず
+と×を使うものが3組
+と-と×を使うものが11組
+と×と÷を使うものが1組
の中途半端な15組の解しかなく、+、-、×、÷の四則を用いて得られる解がないこと。
などが「教える立場」からすると「美しくない」のです。
そこで考えたのが
①(=1)と②(=10)の組み合わせと、2桁以上の数字の排除です。
とくに①は
+と-だけでも
ミッキーといつもの仲間たちに、チップ、デール、クララベル、ピートの4人を加えた数だけできますし(途中負にならないものは2組)、
+、-、×の組
+、-、×、÷の組(四則計算)
も、カッコを使うことなくできます(お試しください。上の※1のタイプもありますよ!)。
これにより、
・小1~小4の計算の「学び」順に合わせ、使うことができる。
・①②の組み合わせから、2数(整数)の和と差の偶奇の一致が学べる。
・小4で①は和差算により解けることが学べる。
・計算でカッコの使い方を教えたいときには、その条件を加えるだけで良い。
→これにより学びと遊びのどちらにも使える※5。
・交換法則などの計算の工夫、計算のきまりなどにも応用できる。
・①は中1「正負の数」の正、負の認識~加法減法などにも使える。
ことから、
長く「学び」に使える問題として新たな命を吹き込み、①②をテキストに組み込んだのです。
なんと美しい!←自画自賛www
「小町算」を少し変えただけ、、?
いえいえ。
「小町算」とはまったく意味が異なります。
「教える立場」であるからこそ生み出され、深い考察と検証を経て、自信をもって世に送り出した問題です。
(あくまでも①と②のセットで教えることが重要であり、②単独ではただの「暇つぶし」にしかならないことにも気付いていただけると嬉しいです)
※5:カッコ、+、-、×、÷すべて使ったものには
(((((1+2)×3-4)÷5+6)÷7)+8)÷9=1などもあります。
こうなると完全に遊びの領域になりますね。
(カッコの条件は、数字の並びを変えなければどこにいくつでも使って良い、としています)
どうでしょう。少しは楽しんでいただけましたか?
(こんな面倒な頭が痛くなるようなブログ、誰が読むか・・と思いつつw)
さて次回からは、2週間に1回程度の更新といたします。
次は5月26日頃、中学受験で良く出題される規則性の問題から、場合の数、式の展開・因数分解などを題材にお話を進めていこうと思っています。
では!
あ・・・ところで、
先々週、4月28日「算数と数学6」の
卯の花のさける垣根に時ならでわがごとぞなく鶯の声
は、続古今集 巻十七:雑上(01543)
「小野小町」作とされているものです。
う〜ん・・・ハーリーも好きだけど・・・やっぱりディズニーも行きたいなぁ・・・
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